10年目を迎える藤の花が今年も咲きました。
当ホテル敷地内にある美術館「薩摩伝承館」は、世界遺産 平等院鳳凰堂 に日本の伝統美の形を求め建設され、2008年2月に開館しました。
屋根には本瓦、組子や格子、床にも本木を採用しています。100年後、さらなる輝きをはなつ次世代の平等院、それが薩摩伝承館です。
薩摩伝承館が2周年を迎えた2010年には、平等院様のご厚意によりはるばる京都・宇治の平等院から株分けされた門外不出の”藤の木”が薩摩伝承館の中庭に移植されました。
初めの2、3年は「どこにあるの?」というほど少なかった花も、毎年少しずつ、少しずつ枝を伸ばし花を増やしてきました。
10年経ち…ようやく来館されたお客様に愛でていただけるまでになったと感じます。
この藤の花を見ていて感じるのは、創業者である祖父、そしてそれを引き継いだ父は自身の代で何かを築こう、形にしようなどとは少しも思っていなかったのだろうと言うこと。50年後、100年後…その更に未来に指宿白水館を訪れてくださるお客様に想いを馳せながらこの旅館を育んできたのだろうと言うこと。
私は瞬間感じたことを表現したいと思ってしまうタイプで、じっと何かを待つのは不得意なのですが、毎年この藤棚の成長を見るたびにその大切さを感じます。
今は休館中ですが、来年、5年後、10年後に来てくださるお客様に喜んでいただけるようにこの藤の花も、私たち指宿白水館も努力してまいります。
若女将